放射線室
はじめに
放射線室では、各診療科からの依頼による、一般X線撮影、歯科パノラマ撮影、X線TV撮影、マンモグラフィ検査、骨密度測定、CT、MRI等の検査を行っています。また、地域の医療機関と連携し、CT・MRI装置等の共同利用を目的とした検査の受け入れも行っています。
当院では、電子カルテと医用画像診断支援システム(PACS)、放射線情報システム(RIS)が連携し、院内はフィルムレス運用となっており、診察室や病棟の電子カルテ端末から検査予約、画像参照が可能なシステムとなっています。
放射線領域の発展は日進月歩であり、高度医療機器の開発、デジタル技術の発展、画像処理技術の向上など、急速な変革は今もなお続いています。しかし、診療放射線技師の役割は、以前から何ら変わりはありません。質の高い医療画像提供による診断精度の向上、医療被ばく低減等「患者本位の医療」を目指し、技術と質の向上に向け努力しております。
放射線室での検査は多岐にわたりますので、不安な点や疑問点は遠慮なく担当の診療放射線技師にご相談ください。
スタッフ紹介
診療放射線技師 6名
医療技術助手 1名
(令和5年10月1日現在)
放射線室のご案内
1.一般撮影・歯科パノラマ撮影室
一般撮影室では、胸部、腹部、全身の骨、軟部(皮膚、関節)等のX線撮影を行います。放射線を利用した検査の中で最も基本となる検査で、臓器や骨の情報を短時間で得る事ができます。
当院では、CR(Computed Radiography)によりX線写真がデジタル化されており、撮影した後でも濃度やコントラストを目的に応じて変化させることが可能となり、より精度の高い画像を得ることができます。
また、一般撮影室には歯科用X線装置も導入されており、歯や顎の骨を1枚の写真の中に横一列に撮影するパノラマ撮影も行っています。
2.X線TV室
X線TV室では、食道・胃・小腸・大腸等の上部・下部消化管造影検査、胆嚢・膵臓などの消化器系検査、さらに整形外科領域である骨折の整復や神経ブロック、脊髄造影等の検査を行っています。
当院のX線TV装置は、多目的・多様な検査に対応できるFPDを搭載した機器を導入しています。トモシンセシスといわれるデジタル画像技術による断層撮影、スロットラジオグラフィという全脊椎撮影が可能であり、通常の機器と比較し、歪みがなく高画質な画像を、低被ばくで撮影することができます。
また、寝台昇降や接触センサー等の機能も搭載しているため、安全に検査を受けていただける機器となっています。
3.乳房撮影室
乳房のX線撮影のことをマンモグラフィと呼び、専用の装置を使用して撮影します。
乳房はそのまま撮影すると、乳腺や脂肪に腫瘍が隠れてしまうため、乳房を圧迫して撮影します。多少の痛みを伴いますが、圧迫し乳房を薄く均等にのばすことで乳腺組織の重なりを広げ、乳がんの初期症状である微細な石灰化や、セルフチェックではわかりにくい小さなしこりなどを観察することができます。
日本人の乳がん罹患率は近年増加傾向にあり、女性のがんでは1位となりました。マンモグラフィ検査は、乳がんの早期発見、早期治癒のためになくてはならない検査となっています。
4.骨密度測定室
骨密度測定検査は、骨の中にあるカルシウムなどのミネラル成分がどれくらいあるのかを計測し、骨粗しょう症の診断、経過観察や治療効果の評価に用いられます。
骨粗しょう症とは、骨の密度が減少して骨が折れやすい状態になることであり、特に閉経後の女性は、ホルモンバランスにより急激に骨密度が低下し、もろい骨になりやすくなります。
当院で行っているDXA法は、二種類のエネルギーレベルのX線の透過率の差を利用し骨量を測定する方法で、測定部位は腰椎・大腿骨頚部の二箇所となります。検査時間は5分ほどで、息止めなどは必要なく、体を動かさず寝ていただくだけの検査となっています。
5.CT検査室
CT(Computed Tomography)検査とは、身体を透過したX線の情報から臓器の断面像や3D画像などを作成し、一般X線撮影では困難な内部構造および病気の状態を知ることができる検査です。
最近は、一度に複数の断面像を得ることができるマルチスライスCT装置が普及しており、当院も64列マルチスライスCT装置を導入しています。
このCT装置は、短時間で広範囲撮影ができるため、息止めが必要な撮影部位の場合、息を止める時間が短縮され、患者さんの負担を軽減することができます。また、1mm間隔以下の撮影を行なっていますので、小さな病変も詳細に描出することが可能です。
CT検査には、造影剤を使用した検査もあり、単純CT検査と比較し、臓器や血管等の病気がより明確に描出される利点があります。
6.MRI検査室
MRIとは、磁気共鳴画像(Magnetic Resonanse Imaging)の略であり、放射線を使用することなく、強い磁力と高周波電波を利用し、体の断面や血管を撮影する検査です。
MRI検査は、他の検査に比べて軟部組織や神経の描出に優れ、造影剤を使わずに脳や下肢動脈等の血管を画像化することも可能です。疾患によっては、造影剤を用いることで病変のより詳細な情報を得ることができます。
当院では、平成27年に3.0T MRI装置を導入し、脳疾患、脊髄疾患等、あらゆる疾患に対して診断価値の高い画像情報を提供しています。
MRI検査の注意事項
●次のような方は、検査をお受けになれない場合があります。
必ず主治医又は診療放射線技師にお申出ください。
- 心臓ペースメーカー、人工内耳、神経刺激装置などの体内電子機器を埋め込んでいる方
- 各種ステント(挿入後2ヶ月以内)、血管内コイル等を埋め込んでいる方
- 人工心臓弁を埋め込んでいる方
- 脳室腹腔シャントを挿入されている方
- 脳動脈瘤クリップを挿入されている方
- 手術などで体内に金属を挿入されている方
- 材質の不明な人工物を体内および体外に挿入、装着されている方
- 眼球内に金属粉混入の可能性のある方
- 躯幹部・四肢に入れ墨をされている方
- 高度の閉所恐怖症と思われる方
- 妊娠している方または妊娠の可能性のある方
●カラーコンタクトレンズ等は外していただきますので、容器を持参していただくか、眼鏡でお越しください。
●当日はなるべく化粧(特にアイメイク)を避け、洋服や下着などに金属が付いていない服装でいらしてください。また、遠赤外線下着やヒートテックなどは金属繊維が含まれている可能性があるため、着衣しないでください。洋服や下着などに金属が付いている場合は、着替えをしていただきます。
●経皮吸収貼付剤(ニトロダーム・ニコチネルパッチ等)は火傷の可能性があるため、検査前に剥がしていただきます。必要に応じて、貼り替え分もご持参ください。
●金属類や貴重品などの持ち込みができないため、当日に担当者がカギの掛かるロッカーにご案内し、検査直前にチェックをいたします。指示に従ってお着替えと荷物の収納をお願いいたします。
●検査中は大きな音がしますが、機械の音ですので心配なさらないでください。
ヘッドフォンをして、音楽を聴きながら検査を受けていただきます。
また、動きに弱い検査ですので、検査中は動かないでください。
検査中は、検査担当者とマイクを通して会話ができますので、安心して検査をお受けください。
7.ポータブルX線撮影・外科用イメージ
当院では、ポータブル式X線装置および外科用イメージ装置を保有しています。 ポータブル式X線装置は放射線室への移動が困難な方に対して、ベッドサイドでX線撮影を行う装置です。 外科用イメージ装置は、主に整形外科の手術に使用され、手術中の画像をリアルタイムに動画として描出します。任意の方向から透視が可能で、手術を安全で円滑にすすめるために、なくてはならない機器となっています。
8.遠隔画像診断装置
遠隔画像診断システムを導入しており、関連施設の放射線専門医による遠隔読影が可能です。担当医と放射線専門医が画像を確認することで、質の高い画像診断を提供することができます。
画像診断機器共同利用について
放射線室では、CT及びMRI検査等の画像診断について、可能な限りご希望に沿った日程でのご依頼を受け付けています。是非、ご利用くださいますようご案内申し上げます。