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村立東海病院

電話番号:029-282-2188
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身体的拘束最小化のための指針

第1 身体的拘束最小化への基本的な考え方

当病院では基本理念に「医療の倫理を守る」こと、基本方針には「患者さんの権利を守る」ことを掲げている。人間としての尊厳および権利を尊重するため、身体的拘束は、原則行ってはならない。身体的拘束は、患者または他の患者等の生命の危機と身体損傷を防ぐために必要最小限に行うものであり、患者の人権を尊重し、安全を優先させ、緊急やむを得ず、他に代替え手段がない場合にのみ実施する。

身体的拘束の定義

身体的拘束は、抑制帯等、患者の身体または衣服に触れる何らかの用具を使用して、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限をいう。

身体的拘束等を行わずにケアを行うための「3つの原則」

1 身体的拘束等を誘発する原因を探り、除去する

徘徊や興奮状態、転倒のおそれや、カテーテル・チューブ類の抜去等、もしくは自傷など、それらを防止するためにやむを得ず身体的拘束が必要とされる場合がある。しかし、それらの状況にはその人なりの理由や要因がある。それを探り、それを除去する、あるいは改善する工夫が必要である。

2 5つの基本ケア(起きる・食べる・排泄する・清潔にする・活動する)を徹底する

一人一人の状態に合わせた適切なケアを行い、生活リズムを整えることが重要である。また、見守り、接し、触れ合う機会を増やし、うまく伝えられない気持ちやサインを受け止め、不安や不快、孤独を少しでも緩和していくことが求められる。

3 より良いケアの実現を目標にする

身体的拘束等廃止への取り組みは、院内におけるケア全体の向上となり得る。身体的拘束等廃止を検討する過程で提起されたさまざまな課題を真摯に受け止め、より良いケアの実現に取り組む。

緊急やむを得ない場合に該当する3つの要件

身体的拘束等は行わないことが原則であるが、当該入院患者または他の患者の生命の危機と身体損傷を防ぐために、緊急やむを得ない理由により身体的拘束等を行う場合がある。

「緊急やむを得ない」理由とは、身体的拘束等を行わずにケアを行うための3つの原則の工夫のみでは十分に患者の生命や身体を保護できないような、一時的に発生する突発的事態のみに限定される。安易に「緊急やむを得ない」ものとして身体的拘束等を行うことのないよう、以下の3要件を満たした場合には、身体的拘束に関するマニュアルに沿って実施する。

3つの要件
  • • 切迫性
    患者本人または他の患者の生命・身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと
  • • 非代替性
    身体的拘束やその他の行動制限を行う以外に代替する方法がないこと
  • • 一時性
    身体的拘束やその他の行動制限が一時的なものであること

身体的拘束等禁止の対象となる具体的な行為

  • (1)徘徊しないように、車いすやいす、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る
  • (2)転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る
  • (3)自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む
  • (4)点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る
  • (5)点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、または皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける
  • (6)車いすやいすからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型拘束帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける
  • (7)立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるようないすを使用する
  • (8)脱衣やおむつはずしを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる
  • (9)他人への迷惑行為を防ぐために、ベッド等に体幹や四肢をひも等で縛る
  • (10)行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる
  • (11)自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する

(「身体拘束ゼロへの手引き」(平成13 年3 月厚生労働省「身体拘束ゼロ作戦推進会議」)

第2 身体的拘束最小化のための体制

以下の取り組みを継続的に実施し、身体的拘束等の最小化のための体制を維持・強化する。

1 身体的拘束最小化チームの設置およびカンファレンスの開催

当院の身体的拘束最小化を目指すための取り組みの確認、改善を検討する。身体的拘束を実施した、または実施しているケースの状況報告や、最小化のための検討を行う。カンファレンスは3か月ごとに開催する。

2 身体的拘束最小化チームの構成

身体的拘束最小化チームの構成メンバーは以下の通りとする。

医師、看護部長、医療安全管理者、セーフティマネジメント部会副部会長(薬剤師)、理学療法士または作業療法士、病棟師長、病棟主任

3 カンファレンスの検討項目
  • (1)身体的拘束等の実施状況についての確認・改善への検討
  • (2)鎮静を目的とした薬物の適正使用についての確認・改善への検討
  • (3)身体的拘束等の代替案、拘束解除に向けての検討
  • (4)身体的拘束最小化のための指針等の見直し
  • (5)職員全体への教育、研修会の企画・実施
4 記録および周知

カンファレンスでの検討内容・結果については、医療安全管理委員会において議事録を作成・保管するほか、議事録をもって職員への周知を行う。

5 職員研修

認知症患者に関わる全職員に対し、年1回、身体的拘束等適正化の研修を実施する。新規採用者に身体的拘束等適正化についての研修を実施する。

6 鎮静を目的とした薬物の適正使用について

認知症ケアマニュアルⅥ薬物療法に適正使用についての項目を定める。認知症ケアチームのカンファレンスで、定期的に確認、改善を図る。

2025年4月30日策定

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